フィラーは皮膚の下、またはその深さに材料を入れて凹んだ部位を埋める注射です。同じ名前で呼ばれても、入れる材料が分かれると、いつボリュームを感じるかと、後から溶かせるかどうかが変わります。
3行まとめ
フィラーはヒアルロン酸(HA)・CaHA(カルシウムハイドロキシアパタイト)・PLLA(ポリ-L-ラクチド)のように材料が分かれ、直後のボリュームか、複数回にわたって落ち着くかが分かれます。
ヒアルロン酸は溶かす酵素で矯正でき、CaHA・PLLAにはその酵素は該当しません。
鼻・額・眉間は視力異常の症例でよく出た部位であり、血管が詰まると皮膚壊死や視力低下につながる場合があります。
フィラーは入れる材料が分かれます
カウンセリングで選ぶ基準は流行の製品名ではなく今日入れる材料です。皮膚にもある水分の材料を長く残るようにしたジェルか、カルシウムの粒をジェルに混ぜた製剤か、注入前に水に溶かして使う粒子かを先に分けます。
| 項目 | ヒアルロン酸(HA) | CaHA | PLLA |
|---|---|---|---|
| 入れるもの | 水分の材料を長く残るようにしたジェル | カルシウムの粒+ジェル | 水に溶かして使う生分解粒子 |
| ボリュームを感じる時期 | 入れた直後 | 入れた直後から | 複数回にわたって徐々に |
| 持続期間 | 製品・部位によって分かれる | 文献検討では1年~1年半前後 | 文献検討では2年前後まで |
| 溶かす酵素 | 該当 | 該当しない | 該当しない |
| よく報告される反応 | むくみ・内出血、血管が詰まる救急 | 報告のほとんどが結節 | 結節・硬い粒 |
※ 持続期間は、顔に用いた文献を集めた検討が整理した範囲です。検討の著者のなかには、クリニックの研究開発所属の研究者がいます。
ヒアルロン酸フィラー
ヒアルロン酸フィラーは、水分の材料を長く残るようにしたジェルを入れます。ボリュームは入れた部位ですぐに感じられることが多いです。持続期間は製品と部位によって分かれます。
この材料だけが溶かす酵素で減らせます。背中に入れたヒアルロン酸を酵素で溶かした研究では、酵素を使った部位は生理食塩水だけを入れた部位より早く減りました。製品ごとに溶ける速度は分かれます。血管が詰まった救急でもこの酵素を使いますが、視力異常の症例を集めた文献検討では、視力を戻す処置として確認された方法は出ませんでした。
CaHAとPLLA
CaHAはカルシウムの粒をジェルに混ぜて入れるフィラーです。文献検討はこの製剤を、ボリュームとともにコラーゲンを刺激する方向に分類します。
CaHAの有害事象報告を集めた文献検討では結節がほとんどでした。報告された結節の半分近くが動きの多い部位から出て、外表には見えず処置なしに消えた例が多くありました。
PLLAは注入前に水に溶かして使う粒子です。一度でボリュームを合わせるより複数回に分けて入れます。硬い粒が報告され、希釈と入れる深さをあわせてみます。
コラーゲン刺激フィラーの合併症55例を集めた調査では、溶かす酵素が助けになったのはヒアルロン酸が混ざった製剤でした。CaHA・PLLAだけの部位にはその酵素は該当しません。
部位と材料をあわせて見るとき
材料だけを選ばず、入れる部位の血管をあわせてみます。発表された視力異常の症例を集めた文献検討では鼻・額・眉間が多く出て、ヒアルロン酸がその症例の相当数を占めました。ヒアルロン酸がより危険なためではなく、その材料が広く使われているためです。同じ検討で、視力が回復しなかった割合は高かったです。
| 部位 | よく使う材料 | あわせて見る点 |
|---|---|---|
| 鼻・額・眉間 | ヒアルロン酸がよく使われる | 視力異常の症例が集まった部位。酵素で溶かす余地がある |
| 唇 | ヒアルロン酸 | 動きが多く、やわらかいジェルを選ぶことが多い |
| 頬・顎のライン | 三つの材料をいずれも検討 | 直後のボリュームか、複数回にわたって待つか |
| 涙溝 | ヒアルロン酸がよく使われる | 皮膚が薄く、浅く入れると透けて見える場合がある |
注射当日はむくみ・内出血・赤みがよくみられます。皮膚の色が蒼白になる、または紫色に変わり、痛みが強く、視界がぼやける場合は、施術を受けた医院へすぐに連絡します。
カウンセリングでそのまま聞くこと
材料・部位・以前の施術歴を一つの場で合わせます。以下を読んで、カウンセリング室でそのまま聞いてください。
- □ 今日入れる材料はヒアルロン酸ですか、CaHAですか、PLLAですか?
- □ この材料は溶かす酵素を使えますか?
- □ 一度でボリュームを合わせる計画ですか、複数回に分けて待つ計画ですか?
- □ この部位に以前入れたフィラーの成分をご存じですか?
- □ 鼻・額・眉間のように、視力異常の症例が報告された部位ですか?
よくある質問
Q1. フィラー施術は痛いですか?
注射針が入る痛みと当日のむくみ・内出血がよくみられます。麻酔クリームや製品に混ぜた麻酔成分で痛みを減らすことが多くあります。痛みだけで材料を選びません。
Q2. 何回受けますか?
ヒアルロン酸とCaHAは当日のボリュームを合わせる設計が多くあります。PLLAは複数回に分けて入れ、その後の間隔は製品案内と皮膚の反応を見て決めます。
Q3. どのくらい持ちますか?
持続期間は、その部位でボリュームが残って見える側として整理した値です。製品・部位・本人の代謝によって分かれます。
Q4. 別のフィラーと一緒に受けてもよいですか?
同じ部位に別の材料を短期間で重ねると、何が残ったかを見分けにくくなり、酵素で溶かす選択肢が狭まります。以前入れた成分を先に知らせると、間隔と部位を分けて設計できます。
Q5. 誰が受けてはいけませんか?
施術部位の感染と当該成分への過敏は禁忌に入ります。妊娠・授乳、抗凝固薬・抗血小板薬の服用、重いアレルギーの病歴は施術前に知らせます。
結果・持続・適合の可否は、お一人おひとりの肌状態・年齢・生活習慣によって差があり、同じ結果をお約束することはできません。
施術には一時的な赤み・むくみなどの副反応が生じる可能性があり、禁忌事項がある場合もありますので、事前カウンセリングでご確認ください。
本記事は一般的な情報のご案内であり、個別の診療に代わるものではありません。ご自身の状態に合わせた診断・施術はカウンセリングでご確認ください。
根拠資料
- Juhász MLWほか(2017)、Dermatol Surg: The Kinetics of Reversible Hyaluronic Acid Filler Injection Treated With Hyaluronidase(PMID 28498207)
- Ferreira ACMほか(2026)、Aesthetic Plast Surg: Efficacy, Durability, and Safety of Collagen Biostimulators Based on Poly-L-Lactic Acid (PLLA) and Calcium Hydroxyapatite (CaHA) in the Face: A Systematic Review(PMID 41184662)
- Doyon VCほか(2024)、Aesthet Surg J: Update on Blindness From Filler: Review of Prognostic Factors, Management Approaches, and a Century of Published Cases(PMID 38630871)
- Kadouch JAほか(2017)、J Cosmet Dermatol: Calcium hydroxylapatite: A review on safety and complications(PMID 28247924)
- Ianhez Mほか(2024)、J Cosmet Dermatol: Complications of collagen biostimulators in Brazil: Description of products, treatments, and evolution of 55 cases(PMID 38693639)
- 米国許可の安全性・有効性要約、レディエッセ
- 米国許可の安全性・有効性要約、スカルプトラ
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