スレッドリフトは、皮膚の下に糸を入れて下がった組織を引き上げて固定する施術です。案内でよく見るPDO(体内で溶ける医療用の糸)6〜8か月は、効果の期間ではなく、糸が体内で吸収される期間を指します。
3行まとめ
1. 糸が吸収される期間と、顔の変化が保たれる期間は同じではありません。
2. 提出された試験値では、糸の引張力は2週後に約81%、4週後に約66%まで低下しました。
3. カウンセリングでは、月数よりも素材・糸の構造・挿入計画・以前の施術歴をあわせて確認する必要があります。
引張力、吸収、顔の変化は別々に進みます
糸の表面が皮膚下の組織にかかると、引き上げた組織をその位置に保ちます。ただし、糸が残っているという事実と当初の引張力が保たれているという意味は同じではありません。
米国の規制機関に提出された試験値では、PDO糸の引張力は2週後に約81%、4週後に約66%まで低下しました。別のPDO糸の資料には、創を支える期間が最大6週と記されています。糸が完全に吸収される前から、物理的な力は低下します。
| 区分 | 何を見る数字か | カウンセリングで確認する点 |
|---|---|---|
| 引張力 | 糸が当初の力をどれだけ保つか | 吸収期間と同じ数字としては見ません。 |
| 吸収期間 | 糸が体内から消えるまでにかかる時間 | 効果がそのまま続く期間を意味しません。 |
| 顔の変化 | 引き上げた形と組織の動きがどれだけ残るか | 同じ条件の写真と現在の状態をあわせて見ます。 |
人を対象にした資料でも、変化は早く減少し始めました。顔の片側にPDO糸を3本または6本入れた試験では、20日に見られた頬と顔下部の変化が60日に減少しました。本数による体積・組織の動き・満足度の差も確認されませんでした。
論文12編と参加者818人をまとめた資料では、施術直後の改善が複数の評価方法で報告されました。最長の追跡は2年であり、長期効果を判断する資料は不足している状態です。
PDO 6〜8か月を効果期間として読みにくい理由
PDO 6〜8か月という数字は2024年のレビューに掲載されています。その文の出典をたどると、2017年に発表された1ページの単著資料に行き着きます。主要な学術検索サービスには登録されていない資料です。
同じレビューが示したPLLAの月数は、動物実験を根拠としました。この実験はマウスを最長8週まで観察したため、人の顔で効果が何か月続くかを示す資料とは性格が異なります。
PDOとPLLAは互いに異なる物質です。PCLまで含めた3素材を直接比較した資料も、現時点では動物実験です。ある素材の結果を、別の素材の持続期間の根拠として読み替えることはできません。
素材と同じく、糸の構造と配置が重要です
製品によって、表面が滑らかなもの、組織にかかるバーブがあるもの、コーン状の構造物が付いているものがあります。組織を捉える方式が互いに異なるため、素材名と本数だけでは同じ施術とは言えません。
実際の診療記録111,948件を分析した資料では、七つの素材の組み合わせが確認され、PDOとPCLを併用した組み合わせが最も多くなりました。フィラー・トキシンなど他の施術と同じ時期に行われた例も60%以上でした。この数字は、どの組み合わせがより長く続く、またはより安全だという比較結果ではなく、実際の使用傾向を示します。
本数も単独の基準として用いるのは難しいです。人22人を60日までみた試験では、顔の片側に3本入れた場合と6本入れた場合のあいだに、測定された差はありませんでした。カウンセリングでは、数字よりも、どの部位と深さにどの方向で配置するかをあわせて確認する方がよいです。
副反応は糸の種類と年齢によって異なる集計になりました
研究26編の結果を合わせると、浮腫が最も多く報告され、皮膚の陥凹・糸が触れたり透けて見えたりする現象・感染が続きました。体内で溶ける糸と溶けない糸に分けると、しびれ・感覚鈍麻と糸の露出で差が出ました。
| 項目 | 確認された数値 | 比較基準 |
|---|---|---|
| 浮腫 | 35% | 全資料を合算した値 |
| 皮膚の陥凹 | 10% | 全資料を合算した値 |
| 糸が触れたり透けて見える | 4% | 全資料を合算した値 |
| 感染 | 2% | 全資料を合算した値 |
| しびれ・感覚鈍麻 | 3.1%対11.7% | 体内で溶ける糸対溶けない糸 |
| 糸の露出 | 1.6%対7.6% | 体内で溶ける糸対溶けない糸 |
| 皮膚の陥凹・感染 | 陥凹 16%対5.6% 感染 5.9%対0.7% |
50歳超対50歳以下 |
※ 上記4項目は研究26編を合算した値であり、項目ごとに何人中何人かは、公開された要約には示されていません。
満足度は施術直後98%、長期の時点では88%でした。満足度も、吸収期間と同じ数字としては解釈しません。
熱感と赤みが増す、発熱、糸の露出、大きくなる陥凹が現れたら、施術を受けた医療機関にすぐ連絡してください。糸の種類別の回復管理はリフティング後のケアガイドに、一般的な副反応への対応は施術の安全案内にまとめています。
同じPDOでも、許可された用途は異なる場合があります
韓国では、リフティング用の糸は創を縫う手術用縫合糸と別の品目として管理されます。素材が同じPDOでも、用途が異なれば許可も別に受けます。したがって「手術で使う糸だから安全だ」という説明だけでは、リフティング用の糸を判断しにくいです。
米国でも、製品ごとに認められた用途は異なります。あるコーン製品は頬の皮下組織を一時的に持ち上げて固定する用途で市販が許可されました。一方、あるPDOモノ製品は組織を縫う用途で許可され、組織を持ち上げたり支えたりする目的では使わないと記されています。
顎のライン・首・額の施術とコラーゲン刺激は、確認された米国文書の許可用途に含まれていませんでした。製品の素材名だけを見ず、実際に使う製品がどの部位と目的で許可されているかを確認する必要があります。
本数と月数より先に尋ねること
見積もりを比較するときは、数字だけをそろえるよりも、同じ種類と同じ施術計画を比較しているかを確認する必要があります。
- □ 素材: PDO・PLLA・PCLのうち何を使い、選んだ理由は何ですか?
- □ 構造: 滑らかな糸、バーブのある糸、コーン構造物の付いた糸のうちどれですか?
- □ 深さと配列: どの層に何本をどの方向で入れますか?
- □ 回復: むくみ・内出血・痛みはどう管理し、どの症状ですぐ連絡すべきですか?
- □ 再施術: 定められた月数と、現在残っている変化のうち、何を基準に時期を決めますか?
- □ 併用: フィラー・トキシン・エネルギー施術との順番と間隔はどう取りますか?
- □ 履歴: 以前のスレッドリフト・フィラー・手術の履歴を計画にどう反映しますか?
- □ 費用: 素材・構造・本数によって費用はどう変わりますか?
複数の見積もりを並べて見るときにそろえる項目は、皮膚科の価格比較、見積書で確認する6つの項目で確認できます。
よくある質問
Q1. スレッドリフトの効果はどれくらい続きますか?
PDO 6〜8か月は吸収期間です。効果の期間は同じ数字では定めず、人を対象にした資料では20日に見られた初期変化が60日に減少しました。再施術の時期は、現在残っている変化と以前の施術歴を基準に決めます。
Q2. 糸を多く入れると効果も大きくなりますか?
人を対象にした試験では、3本と6本のあいだに測定された差はありませんでした。 この結果は、当該試験の本数と60日の観察範囲に該当します。本数とあわせて、挿入部位・深さ・方向を確認してください。
Q3. 体内で溶ける糸は副反応が少ないですか?
研究を合わせた結果では、しびれ・感覚鈍麻と糸の露出が、体内で溶ける糸でより低く集計されました。浮腫・陥凹など他の項目まで、すべて同じ差を示したという意味ではありません。
Q4. スレッドリフトのあと、フィラーやトキシンを一緒に受けてもよいですか?
大規模な診療記録では、60%以上が他の施術と同じ時期に実施されました。この数値は併用の頻度を示します。受けた施術名と日付を伝え、部位ごとの順番と間隔を決めてください。詳しい基準はリフティング・レーザー・スキンブースターの順序ガイドにまとめています。
Q5. 施術後、どのような症状が出たら病院に連絡すべきですか?
強まる熱感・赤み、発熱、皮膚の外に出た糸、大きくなる陥凹が現れたら、施術を受けた医療機関にすぐ連絡してください。一般的な回復管理と連絡の基準は、リフティング後のケアガイドと施術の安全案内で確認できます。
結果・持続・適合の可否は、お一人おひとりの肌状態・年齢・生活習慣によって差があり、同じ結果をお約束することはできません。
施術には一時的な赤み・むくみなどの副反応が生じる可能性があり、禁忌事項がある場合もありますので、事前カウンセリングでご確認ください。
本記事は一般的な情報のご案内であり、個別の診療に代わるものではありません。ご自身の状態に合わせた診断・施術はカウンセリングでご確認ください。
根拠資料
- Hong GWほか(2024)、Clin Cosmet Investig Dermatol: Thread Lifting Materials: A Review of Its Difference in Terms of Technical and Mechanical Perspective(PMID 38737945)
- FDA: Miracu Polydioxanone (PDO) Suture and Needle (MONO) (510(k) K251414)
- Niu Zほか(2021)、Aesthetic Plast Surg: A Meta-Analysis and Systematic Review of the Incidences of Complications Following Facial Thread-Lifting(PMID 33821308)
- Germani Mほか(2025)、Aesthet Surg J Open Forum: Is More Always Better? A Randomized Comparative Clinical Trial About the Impact of Polydioxanone Threads Quantity for Facial Lifting(PMID 40236886)
- Riopelle AMほか(2025)、Dermatol Surg: Update on Absorbable Facial Thread Lifts(PMID 39662017)
- FDA: PDS Plus Antibacterial (Polydioxanone) Sterile Synthetic Absorbable Surgical Suture (510(k) K212380, K243897)
- FDA: Silhouette InstaLift (510(k) K142061, K163676 — 中顔面皮下組織の一時的固定)
- 国家法令情報センター: 「医療機器の品目及び品目別等級に関する規定」別表1
- Tamura T ほか: Multicenter Review of More Than 110,000 Facial Thread Lifting Cases From a Cosmetic Surgery Group (2025, PMID 41346928)
- Soen M ほか: Enhancing dermal collagen density towards youthfulness: A comparative study of PCL, PLLA, and PDO thread implantation in aging rats model (2025, PMID 39850124)
- Cho SW ほか: Efficacy study of the new polycaprolactone thread compared with other commercialized threads in a murine model (2021, PMID 33421303)
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